2025.11.05
目次
ビジネスを本格的に始めるにあたって、会社を設立しようと考える人は多いのではないでしょうか。
中でも「株式会社」は、最もポピュラーな法人形態のひとつです。
しかし、会社を作るためには法的な手続や費用が発生し、設立後にもさまざまな義務があります。
この記事では、株式会社とは何か、合同会社や個人事業主との違い、設立の流れ、注意点、そして設立後に必要な手続きまで、わかりやすく解説します。
これから会社設立を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

株式会社は株式を発行して資金を調達し、出資者が有限責任を負う法人形態です。
多くの企業が採用しており、社会的な信用度も高いのが特徴です。
企業の規模や事業内容に関係なく設立が可能で、ベンチャーから大企業まで幅広く活用されています。
合同会社は、2006年施行の会社法で導入された法人形態です。株式会社と比べて設立費用が安く、定款を使った自由度の高い運営が可能となる点が特徴です。
一方、株式会社は株式を使って資金調達ができる点や、社会的信用力の面で、合同会社より優れていると言えるでしょう。
また、株式会社では取締役や株主総会を設置することや決算公告など、ルールが明文化されているため、対外的にも透明性があると評価されやすいでしょう。
将来的な事業拡大を目指したい場合は株式会社、個人企業を前提としてとにかく安く会社を設立したい場合は合同会社を選ぶことをおススメします。
個人事業主は手軽に開業できる一方で、事業の責任をすべて個人で負う必要があります。
株式会社であれば、出資者は出資額以上の責任を負わず、リスクを限定できます。
さらに、税制面でも法人の方が節税効果が高い場合があり、売上が増えてきたタイミングで法人化を検討する個人事業主は少なくありません。
法人化のタイミングについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
信用力の高さや資金調達のしやすさに加え、雇用や取引の面でも有利に働くことが、株式会社が選ばれる理由です。
また、会社の成長に合わせて上場も視野に入れられるため、将来の展望が広がる法人形態として選ばれるケースが多くなっています。

株式会社を設立するには、法律に基づいた手続が必要です。
ここでは、会社設立の一連の流れを順を追って説明します。初めてでも迷わないように、各ステップで注意すべき点もあわせて紹介します。
会社名(商号)は自由に決められますが、既存の会社と紛らわしい名前や、公序良俗に反する表現は避ける必要があります。
あわせて、事業目的も明確にし、登記可能な表現にすることが重要です。
目的が曖昧だと登記時に差し戻されることもあるため、慎重に検討しましょう。
また、このタイミングで資本金の金額を決めます。
資本金について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
登記申請や銀行口座開設などに必要な「会社実印」「銀行印」「角印」は、会社設立前に作成しておきましょう。
印鑑は会社の信用やセキュリティに関わる重要な要素です。
安価なものから高級素材までありますが、法的効力に変わりはありません。
用途に応じて使い分けられるよう、3点セットで揃えるのが一般的です。
株式会社の設立には、会社の基本事項を定めた「定款」の作成が必要です。
紙の定款の場合は印紙代4万円がかかりますが、電子定款を活用すればその費用は不要になります。
完成した定款は公証役場で認証を受けなければならず、手数料として約3~5万円が必要です。内容に不備があると手続きが遅れるため、事前に専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。
定款の認証後、資本金を代表者の個人口座に払い込みます。
この資本金は会社の運転資金となるため、設立後すぐに使う予定がある場合でも、一度は記録として残す必要があります。
入金が完了したら、その証明として通帳のコピーや振込明細などを用意し、登記書類に添付します。
すべての準備が整ったら所轄の法務局に登記申請を行い、申請日が「会社の設立日」となり、正式に法人として認められます。
書類に不備があると修正が必要になり、手続きが遅れることもあるため注意しましょう。
登記完了までには通常1〜2週間かかります。

会社設立は単なる手続きではなく、今後の事業運営に大きく関わる重要なスタート地点です。
事前準備を怠ると後から大きなトラブルに発展する可能性もあるため、以下のポイントは特に意識しておきましょう。
定款に記載する事業目的や機関設計などは、将来的な事業展開や法的責任に直結します。
例えば、事業目的に含まれていない業種では許認可が取得できない場合もあるため、多少広めに設定しておくのが安全です。
内容が曖昧だったり不適切だったりすると、後から変更する手間や費用が発生します。
会社設立後は、日々の経理業務や税務申告が発生します。
特に法人税や消費税などは提出期限を守らなければペナルティが課される可能性もあるため、早い段階から会計ソフトの導入や税理士との契約を検討しておきましょう。
経理業務や税務申告の体制を最初から整備しておくことが、安定した会社経営にもつながります。
法務局への登記申請が完了しても、登記簿に反映されるまでには通常1〜2週間ほどの時間がかかります。
この期間中は会社としての活動に制限が出る場合もあるため、スケジュールに余裕を持って準備を進めることが大切です。
登記完了後に法人番号が発行され、正式な法人として取引が可能になります。
資本金は単に「設立に必要なお金」ではなく、会社の信用力にも直結する要素です。
また、実際に事業運営のための資金として活用されることになるため、どの程度の資本金を用意するか、何に使うのかを事前にしっかり計画しておくことが求められます。
融資や助成金の申請にも影響するケースがあるため、慎重に設定しましょう。
資本金について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

登記が完了して会社が正式に設立された後も、各種届出や口座開設、保険手続きなど、やるべきことが複数あります。
これらの手続きを忘れると罰則の対象になることもあるため、スムーズに進めておくことが重要です。
会社を設立したら、税務署に「法人設立届出書」や「青色申告の承認申請書」などを提出する必要があります。
加えて、都道府県税事務所や市区町村役場への法人設立届出も必要です。
これらの提出期限は設立後1〜2ヶ月以内に設定されているため、早めに対応しましょう。
法人としての資金管理を行うためには、法人名義の銀行口座が必須です。
設立登記が完了していないと口座開設はできないため、登記完了後に速やかに準備しましょう。
必要書類には登記簿謄本や印鑑証明書、定款などが含まれます。審査に時間がかかることもあるため、余裕を持って審査を受けるようにしましょう。
従業員を雇用する場合、社会保険(健康保険・厚生年金)や労働保険(労災保険・雇用保険)への加入手続きが必要です。
健康保険と厚生年金は年金事務所、労働保険は労働基準監督署とハローワークが窓口になります。
法人の従業員が代表者1人の場合でも、一定の条件を満たせば加入義務が発生するため、忘れずに対応しましょう。

株式会社の設立は、ビジネスの信頼性を高め、取引先や金融機関との関係構築にも有利に働く重要なステップです。
しかし、実際には定款の作成や登記手続き、資本金の払い込み、各種届出など、専門的な知識や煩雑な作業が多く、初めての方にとっては不安がつきものです。
こうした手続きを確実かつスムーズに進めるためには、専門家のサポートが非常に有効です。
リゾルト税理士法人では、会社設立に必要な手続きをトータルでサポートしています。
定款作成に関するアドバイスから、税務署・年金事務所への届出、設立後の税務顧問まで、一貫して対応いたします。
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