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合同会社の税金は株式会社と同じ?設立のメリットと節税のポイント

「合同会社を設立したいけれど、株式会社と比べて税金はどう違うのだろうか」

起業や法人化を検討する際、このような疑問を持つ方は非常に多くいらっしゃいます。

合同会社は、2006年の会社法施行によって誕生した比較的新しい会社形態です。

設立費用の安さや経営の自由度の高さから、小規模なビジネスやIT系スタートアップを中心に、近年急激に設立数を伸ばしています。

しかし、「合同会社は税金が安いらしい」といった誤った噂を信じたまま設立してしまうと、後から想定外の負担に苦しむ可能性があります。

本記事では、合同会社と株式会社の税金に関する決定的な違いや共通点を整理し、個人事業主から切り替える具体的な節税メリット、そして税金を賢く抑えるための実践的なポイントを徹底的に解説します。

この記事を読んでわかること

  • 合同会社と株式会社の「毎年の税金」は全く同じという事実
  • 登録免許税や定款認証不要により、設立費用を約15万円安く抑える仕組み
  • 個人事業主からの法人化で得られる、役員報酬や社宅制度の強力な節税効果
  • 税金と社会保険料のトータルコストを最小化する「役員報酬」の決め方

合同会社の税金は株式会社と違う?

合同会社を選ぶ際、税金面で株式会社よりも有利になるのかどうかは、経営者にとって最も気になるポイントです。

結論からお伝えすると、毎年の事業で出た利益に対してかかる「税金の計算ルール」に違いはありません。

税金の計算ルールは株式会社と全く同じ

「合同会社だから税率が低く優遇されている」というのは、多くの方が抱きがちな大きな誤解です。

会社が毎年納めるべき主な税金には、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税などがあります。

これらの税金を計算するためのルールや、適用される税率は、合同会社も株式会社も全く同一です。

たとえば、所得金額が800万円以下の部分に対する法人税率は約15%ですが、これも両者で変わりません。

したがって、事業で1,000万円の利益が出た場合、合同会社であっても株式会社であっても、最終的に納める法人税額は同じになります。

設立費用(登録免許税)が安い

毎年の税金は同じですが、会社を設立するタイミングで国に納める「登録免許税」には非常に大きな違いがあります。

  • 株式会社の登録免許税:資本金の0.7%(最低150,000円)
  • 合同会社の登録免許税:資本金の0.7%(最低60,000円)

さらに、株式会社の設立で必須となる「公証役場での定款認証」が、合同会社では不要です。

これにより、約50,000円の定款認証手数料も0円で済みます。

設立時の初期費用をトータルで約150,000円以上も安く抑えられる点は、資金に余裕のないスタートアップ企業が合同会社を選ぶ理由の一つでしょう。

利益の配分を自由に決められる

株式会社の利益配分(配当金)は、原則として株式の保有割合(出資比率)に応じて厳格に行われます。

たくさんお金を出した人が、たくさん利益を受け取るというシンプルな仕組みです。

しかし、合同会社は定款(会社のルールブック)で自由に定めることで、出資額に関わらず利益を配分できます。

たとえば、「出資額は100,000円と少ないが、卓越した技術力で会社の売上に多大な貢献をした社員」に対し、出資額が1,000,000円の社員よりも多くの利益を配分するといった、柔軟なインセンティブ設計が可能です。

個人の能力や貢献度をダイレクトに評価できるため、専門スキルの高いメンバーが集まる事業に非常に適した仕組みです。

このセクションのまとめ

毎年の税金(法人税など) ルールも税率も
全く同じ
設立時の初期費用 合同会社の方が
約15万円安い

出資額に関わらず「貢献度」に応じて自由に利益を配分できるのも、合同会社ならではの大きな魅力です。

個人事業主から合同会社へ切り替える節税メリット

毎年の税率が株式会社と同じであれば、個人事業主のままでいる方が手続きも楽だと考えるかもしれません。

しかし、個人事業主が合同会社を設立(法人成り)すると、個人では絶対に得られない強力な節税効果を得られます。

自分への給与(役員報酬)による所得控除

個人事業主の場合、事業で出た利益はすべてそのまま「個人の所得」とみなされます。

そのため、利益が増えれば増えるほど、最高45%にも達する高い累進課税の所得税がダイレクトに課されます。

一方で合同会社を設立すれば、会社の利益から自分自身に「役員報酬」として給与を毎月支払うことができます。

この役員報酬には、会社員と同じように「給与所得控除」という概算経費の差し引きが認められています。

会社の利益を法人税の対象から外しつつ、個人の税金も控除によって安く抑えられるため、世帯全体の手残りを大きく増やすことが可能です。

消費税の免税期間を最大2年間享受できる

個人事業主から合同会社へ切り替えると、消費税の納税義務を判定する基準が一旦リセットされます。

  • 資本金を1,000円未満にして設立する
  • 設立2期目の特定期間における売上や給与支払額を調整する

これらの条件をうまくクリアすれば、設立から最大2年間(2期)は消費税を納めなくてよい「免税事業者」となることができます。

売上の10%にあたる消費税を手元に残せるため、事業を軌道に乗せるための貴重な運転資金として活用できます。

ただし、インボイス制度に登録した場合はこの免税メリットが消滅するため、取引先との関係を考慮した慎重な判断が必要です。

退職金や生命保険、社宅制度などの経費計上

個人事業主では経費として決して認められないプライベートに近い項目も、合同会社であれば適法に経費にできる範囲が大きく広がります。

  • 役員退職金:将来の自分のための退職金を会社の経費とすることができます。
  • 生命保険料:一定の条件を満たす法人保険に加入し、保険料の一部を経費にできます。
  • 社宅制度:賃貸の自宅を会社名義で契約し、家賃の大部分を会社の経費に落とせます。

これらをフルに活用することで、会社の利益を圧縮し、余計な法人税を支払うことなくキャッシュを蓄えることができます。

このセクションのまとめ

節税のポイント 個人にはない法人(合同会社)の特権
役員報酬の活用 利益を自分への給与にすることで「給与所得控除」が使え、世帯全体の手残りが増えます。
消費税の免税 資本金等の条件をクリアすれば、設立から最大2年間は消費税の納付が免除されます。
経費の幅が拡大 将来の「役員退職金」や「生命保険料」、自宅家賃を会社の経費にする「社宅制度」が使えます。

合同会社で税金を安く抑えるためのポイント

合同会社のメリットを最大限に引き出すためには、ただ設立するだけでなく、その後の戦略的な税務対策が不可欠です。

役員報酬の最適化

役員報酬を高く設定すれば、会社の利益が減るため法人税は安くなります。

しかし、その分だけ個人の所得税や住民税、そして重い負担となる「社会保険料」が高くなります。

そのため、法人税、個人の税金、社会保険料の3つを合算し、会社と個人のトータルで最もキャッシュが残る「最適な金額」を綿密にシミュレーションすることが重要です。

役員報酬は設立から3ヶ月以内に決定し、その後1年間は原則として毎月同じ金額を支給し続ける厳格なルールがあるため、期首の正確な利益予測が求められます。

倒産防止共済(経営セーフティ共済)の活用

想定以上に利益が大きく出そうな年度は、倒産防止共済(経営セーフティ共済)を活用するのが定番かつ強力な節税策です。

本来は取引先の倒産に備えるための制度ですが、支払った掛金が全額会社の経費になるという特徴があります。

年間最大240万円、累計で800万円まで掛金を支払うことができ、40ヶ月以上加入していれば解約時に全額が戻ってきます。

無駄な経費を使うことなく、安全に利益を将来へ繰り延べることができるため、多くの経営者が加入しています。

参考:https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/index.html

決算期の設定による納税タイミングのコントロール

個人事業主の決算は全員共通で「12月末」と法律で決まっていますが、合同会社は自由に決算月を設定できます。

たとえば、売上が最も多くなる繁忙期の直後を決算月に設定してしまうと、利益の計算から納税までの準備期間がわずか2ヶ月しかなく、急な資金繰りに苦しむことになります。

繁忙期を新しい期のスタート(期首)に持ってくるように決算月を設定すれば、約1年間の余裕を持って節税対策を練り、確実な納税資金の準備ができます。

このセクションのまとめ

  • 役員報酬の最適化:税金だけでなく「社会保険料」も含めたトータルコストで金額を決める。
  • 倒産防止共済:掛金(年間最大240万円)が全額経費になり、利益を安全に将来へ繰り延べられる。
  • 決算期の設定:繁忙期を「期首」に設定し、1年間の余裕を持って節税と納税準備を行う。

役員報酬は「設立から3ヶ月以内」に決定し、その後1年間は同額を支給し続ける厳格なルールがあるため、事前の利益予測が不可欠です。

合同会社の経営者が税理士と顧問契約を結ぶべき理由

合同会社の運営はシンプルに見えますが、株式会社とは異なる独自の注意点が多く潜んでいます。

長期的に安定した節税を成功させるためには、専門家である税理士の継続的なサポートが欠かせません。

株式会社とは異なる「定款」の作り方で税務上の自由度が変わる

合同会社の定款は、公証役場のチェックがない分、法律の範囲内で非常に自由にルールを決めることができます。

しかし、インターネット上のひな形をそのまま使って適当に作成してしまうと、後から利益配分や重要な意思決定の際に社員同士で深刻なトラブルになるリスクがあります。

税理士や専門家のアドバイスを受けながら、自社のビジネスモデルに合わせた定款を作成することで、初めて税務上のメリットを最大限に活かせる強固な組織を作れます。

2026年度の最新税制に合わせた節税アドバイス

税制は毎年複雑に改正されており、過去に有効だった節税策が急に使えなくなることも珍しくありません。

たとえば、経費化のルールやインボイス制度の特例措置なども、常に変化の対象です。

最新の法律を常に把握し、税務署の動向に詳しい税理士に相談することで、ルール違反による重いペナルティを防ぎ、常に安全で効果的な節税が実現します。

将来の「株式会社への組織変更」を見据えた長期的な税務設計

事業が順調に拡大し、金融機関から数千万円規模の融資を受けたり、ベンチャーキャピタルから出資を受けたりする必要が出た場合、合同会社のままでは資金調達に限界があります。

その場合、合同会社から株式会社へ「組織変更」を行うことが法律上可能です。

しかし、組織変更には官報公告などの複雑な手続きと、数十万円単位のコストと時間がかかります。

将来的な上場や事業売却を見据えるのであれば、設立当初から税理士と長期的な事業計画を共有し、どのタイミングで組織変更を行うべきか戦略を練っておくことが成功の鍵です。

このセクションのまとめ

定款作成のサポート トラブルを防ぐ
独自のルール設計
将来のビジョン 融資・上場を見据えた
「株式会社」への組織変更

まとめ

合同会社の毎年の税金は、株式会社と全く同じルールで計算され、税率が優遇されているわけではありません。

しかし、設立時の初期費用が約150,000円以上も安く、利益配分の自由度が極めて高い点は、小規模なビジネスやスタートアップにとって非常に魅力的な選択肢です。

役員報酬の最適化や、決算期の設定、各種共済制度を戦略的に組み合わせることで、法人ならではの絶大な節税効果をしっかりと得ることができます。

「自分の事業プランは合同会社に向いているのか」「具体的に年間でどれくらい税金が安くなるのか」と迷われている方は、リゾルト税理士法人にぜひ一度ご相談ください。

お客様の現在の事業規模や将来のビジョンを丁寧にヒアリングし、合同会社の設立手続きから、その後の緻密な節税シミュレーションまでをトータルでサポートします。

合同会社の設立・節税チェックリスト

合同会社を選ぶべき理由

  • 初期費用をとにかく安く抑えたい
  • 身内や少人数でスピーディーに経営したい
  • メンバーの貢献度で柔軟に利益を分けたい

注意すべきポイント

「定款の自由度が高い」からこそ、ネットのひな形をそのまま使うと後々トラブルに発展しがちです。また、将来大規模な資金調達が必要になった場合は、株式会社への組織変更も視野に入れる必要があります。

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