2026.08.30
「立ち上げたばかりで、まだ自分に報酬を払う余裕がない」「役員報酬をゼロにすれば、税金や社会保険を抑えられるのでは」——役員報酬をいくらにするかは、法人化した経営者が最初に悩むテーマのひとつです。
なかでも「ゼロ」という選択は、実際に立ち上げ期の会社で選ばれることがあります。
リゾルト税理士法人でも、役員報酬の設定についてのご相談は非常に多くいただきます。
この記事では、役員報酬をゼロにするメリット・デメリット、赤字対策になるのかどうか、そして適切な決め方までを整理してお伝えします。

まずは、役員報酬をゼロにするとはどういうことか、そしてそれが税務上どう扱われるのかを押さえておきましょう。
役員報酬をゼロにする、つまり経営者自身が会社から報酬を受け取らないという選択は、実際に存在します。
特に立ち上げ期など、まだ会社に十分な利益が出ていない段階では、あえて役員報酬をゼロに設定するケースがあります。
「必ず報酬を払わなければならない」という決まりがあるわけではなく、会社の状況に応じて選べる選択肢のひとつです。
「役員報酬をゼロにすると税務上、問題があるのでは」と心配される方もいますが、その点はほとんど気にする必要がありません。
役員報酬を設定してもしなくても、それ自体で税務上のリスクが大きく変わることはありません。
むしろ注意すべきは、期の途中で自由に金額を変えられないというルール(後述)のほうです。
ゼロにすること自体は、会社の判断として問題なく選べます。
このセクションのまとめ
選択肢
経営者自身が会社から報酬を受け取らない選択肢。
特に会社設立・立ち上げ期など、利益が少ない段階で採用されることがあります。
税務上の影響
役員報酬をゼロにしても税務上の大きなリスクはない。
むしろ「期の途中で金額を自由に変動できない」ルールに注意が必要です。
役員報酬は必ず支払うものではなく、会社の状況に応じて柔軟に設定可能です。

では、役員報酬をゼロにすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
主に3つあります。
最大のメリットは、会社に資金を厚く残せることです。
役員報酬を払わない分、そのお金は会社のなかに留まります。
事業への再投資や、不測の事態に備えるための手元資金として活用でき、特に資金に余裕のない時期には大きな意味を持ちます。
立ち上げ間もない会社にとって、役員報酬ゼロは資金繰りを守る手段にもなります。
売上がまだ安定しない時期に無理に報酬を払うと、会社の資金がすぐに底をついてしまいかねません。
あえて報酬をゼロにして会社にお金を残しておくことで、事業が軌道に乗るまでの体力を確保できます。
実際に、立ち上げ期の会社でこの選択がとられることは珍しくありません。
役員報酬をゼロにすると、社会保険料の負担も抑えられます。
社会保険料は役員報酬の額に応じて決まるため、報酬がゼロであれば、それに対応する保険料の負担も生じません。
会社・個人ともにコストを抑えられる点は、資金の限られた時期にはメリットになります。
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一方で、役員報酬をゼロにすることには、見落とせないデメリットもあります。
メリットとあわせて理解しておきましょう。
まず現実的な問題として、経営者個人の収入がなくなります。
会社から報酬を受け取らないということは、その分の生活費を別の手段で賄う必要があるということです。
貯蓄や配偶者の収入など、生活を支える原資があるかどうかを確認しておかないと、報酬ゼロは長くは続けられません。
役員報酬をゼロにすると、源泉徴収票に記載される収入も下がります。
収入の金額は、いわゆる与信——収入を証明する場面に影響しうるものです。
報酬をゼロにしている間は、収入の証明という点で不利に働く可能性があることは、頭に入れておくとよいでしょう。
報酬をゼロにすると、社会保険の対象外になる場合があります。
社会保険は一定の報酬があることを前提とする制度のため、報酬がゼロだと加入できないことがあります。
保険料の負担が減るというメリットの裏返しでもあるので、制度上の事実として理解しておきましょう。
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「役員報酬をゼロにすれば赤字対策になり、税金もかからなくなるのでは」と考える方もいます。
ここは誤解しやすいポイントなので、丁寧に整理します。
役員報酬は会社の経費になるため、報酬を抑えると、その分だけ会社の損失(赤字)を圧縮できます。
役員報酬を払えばその金額が経費となって利益を押し下げますが、逆に報酬をゼロにすれば経費が減り、赤字幅を小さくしたり、黒字に近づけたりできます。
この意味で、役員報酬の調整は損益をコントロールする手段のひとつになります。
ただし、役員報酬をゼロにしても、税金がまったくかからなくなるわけではありません。
法人には、赤字であっても発生する税金があります。
法人住民税の均等割は利益に関係なく毎年かかりますし、消費税も納税義務があれば赤字でも発生します。
役員報酬をゼロにして損益を調整しても、これら固定的な税金は残ります。
「報酬ゼロ=税金ゼロ」ではない点に注意が必要です。
(関連記事:法人は赤字でも税金がかかる?払う税金の種類と赤字だからこそ使える制度)
リゾルトの視点|「ちょうどいい役員報酬」は、事業計画から逆算します
役員報酬は、高すぎても低すぎても、会社と個人のどちらかに無理が出ます。
リゾルト税理士法人では、ご相談をいただいたとき、いきなり「いくらが正解です」とはお伝えしません。
まず、その会社がこの先どう事業を進めたいのか、経営者ご自身の生活として何が必要かをうかがいます。
そのうえで、事業計画と手元に残したい金額から逆算して、「ちょうどいい役員報酬」を一緒に探ります。
数字のシミュレーションは私たちがご用意しますが、暮らしや事業の優先順位を決めるのは経営者ご自身です。
創業期の会社を数多く見てきた経験から、その方に合った落としどころをご提案します。
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役員報酬ゼロの効果
役員報酬は会社の経費であるため、報酬をゼロにすることで経費を削減できます。
結果として会社の赤字を圧縮し、損益をコントロールする手段となります。
注意すべき税金
役員報酬をゼロにしても、税金が完全にゼロになるわけではありません。
法人住民税の均等割や、納税義務がある場合の消費税などは、赤字であっても発生します。
役員報酬ゼロは赤字対策の一環となりますが、すべての税金がなくなるわけではない点に注意が必要です。
最後に、役員報酬をどう決めればよいのか、その考え方とルール上の注意点を確認しておきましょう。
役員報酬は、事業計画と手残り(手元に残るお金)から逆算して決めるのが基本です。
「会社にいくら残したいか」「個人の生活にいくら必要か」の両方を踏まえ、税金や社会保険料も含めて、全体の手残りが最も良くなる金額を探します。
感覚で決めるのではなく、数字から逆算することで、会社と個人のバランスがとれた“ちょうどいい”報酬額に近づけます。
役員報酬を決めるうえで必ず押さえておきたいのが、期の途中で自由に変更できないというルールです。
役員報酬は原則として、事業年度の開始から一定期間内に決める必要があり、期の途中で自由に増減させると、税務上、経費として認められない部分が出ることがあります。
だからこそ、決算のタイミングで一年間を見通して設定することが重要です。
(関連記事:役員報酬はどうやって決めたらいい?シミュレーションや手残りを最大化する方法もご紹介)
このセクションのまとめ
決め方の基本
事業計画と手残りから逆算
会社・個人の全体手残りが
最適になる金額を探す
変更ルール
期の途中での自由な増減は不可
原則、事業年度開始から
一定期間内に決定する
感覚ではなく、数字から逆算することで、会社と個人のバランスがとれた適切な報酬額に近づきます。
役員報酬をゼロにすることには、会社に資金を残せる・立ち上げ期の資金繰りを守れる・社会保険料を抑えられるといったメリットがある一方、個人の収入がなくなる・収入の証明に影響しうる・社会保険に加入できない場合があるといったデメリットもあります。
また、報酬をゼロにしても、均等割や消費税など、赤字でもかかる税金は残ります。
役員報酬ゼロは、あくまで会社と個人の状況を見たうえでの選択肢のひとつです。
大切なのは、事業計画と手残りから逆算し、変更のタイミングにも注意しながら、その時々に合った金額を決めることです。
リゾルト税理士法人では、役員報酬の設定を、事業計画と手残りのシミュレーションをもとに一緒に考えています。
決算料も0円で対応しており、創業期の会社が数字で迷わないよう伴走します。
「自分の場合、役員報酬はいくらがいいのか」——迷ったら、ぜひ一度ご相談ください。
数字と経営の両面から、あなたに合った答えを一緒に見つけます。
この記事でわかること
重要な判断ポイント
役員報酬ゼロのメリット
役員報酬ゼロのデメリット
役員報酬の変更は事業年度開始日から3ヶ月以内という「定期同額給与」のルールがあります。変更時期には注意しましょう。

スタートアップ・会社設立に強い税理士法人|マネーフォワードクラウド会計専門|オンラインメイン|M&AやIPO等の相談・サポートも可能 |30代|監査法人→海外駐在(会計アドバイザリー等)→投資ファンド(中小企業投資)→上場準備会社役員(2023年IPO実現) →リゾルトグループ設立
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