2026.01.12
目次
事業を運営する上で、避けて通れないのが「個人事業主」と「法人」という事業形態の選択です。
個人事業主として順調に売上を伸ばしていくと、多くの経営者が「いつ法人化すべきか」という悩みに直面するでしょう。
個人と法人では、税金の仕組みから社会保険の負担、さらには倒産時の責任範囲まで、あらゆる面で明確な違いが存在します。
本記事では、個人事業主と法人の具体的な違いを整理し、法人化することで得られるメリットや注意点、そして失敗しないための検討タイミングを詳しく解説します。

まずは、経営に直結する根本的な違いについて、4つの視点から比較します。
個人事業主には「所得税」が課され、法人には「法人税」が課されます。
この税率差を活かし、所得が高い場合に法人税を選択することが節税の基本となります。
健康保険や年金制度の仕組みも大きく異なります。
法人の場合、保険料は「会社と個人で折半」して負担します。会社としての支出は増えますが、将来受け取る年金額や保障の手厚さは、社会保険の方が有利になる傾向があります。
万が一、事業が立ち行かなくなった際の「責任の取り方」に決定的な違いがあります。
ただし、中小企業の融資において経営者が連帯保証人になっている場合は、実質的に無限責任に近い状態になる点には注意が必要です。
法人の方が、経費として認められる項目の幅が格段に広くなります。
さらに、社宅制度の活用や、一定の生命保険料を経費化できるなど、法人ならではの経費計上が可能になります。
個人から法人へ切り替えることで、節税以上のメリットが得られます。
法人化のメリットについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
法人化の最大のメリットは、役員報酬を経費にできる点です。
所得を「法人」と「経営者個人」に分散させることで、全体の税率を下げ、トータルの納税額を大幅に圧縮できます。家族を役員にして報酬を分散させれば、さらなる節税も期待できます。
事業で赤字(欠損金)が出た場合、その赤字を翌年以降の利益と相殺できる制度があります。
これにより、大きな投資を行った年度の赤字を、将来の利益が出た際の税金負担を軽減するために活用できます。
法人は法務局に登記され、組織の概要が公的に証明されているため、個人事業主よりも高い信用を得られます。
大手企業との取引条件として「法人であること」が求められるケースは少なくありません。また、従業員の採用においても、社会保険を完備している法人は安心感を与え、優秀な人材が集まりやすくなります。
個人事業主の決算は12月末と決まっていますが、法人は「決算期」を自由に設定できます。
売上が集中する時期を期首に持ってくることで、余裕を持って節税対策を練ることが可能です。また、役員報酬の額を期首から3ヶ月以内に設定することで、1年間の利益予測に基づいた戦略的な納税計画が立てられます。
メリットだけでなく、コストや手間の増加についても正しく理解しておく必要があります。
株式会社を設立するには、登録免許税や定款認証費用などで約20〜25万円の初期費用がかかります。
また、決算公告の費用や税理士報酬など、年間を通じた維持コストも個人事業主時代より高くなるのが一般的です。
株式会社の設立費用について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
個人事業主は所得がなければ住民税(所得割)はかかりませんが、法人は異なります。
たとえ赤字であっても、法人住民税の「均等割」として、毎年最低約7万円を納めなければなりません。これは「地域に会社が存在すること」に対して課される税金です。
社会保険の加入はメリットである一方、会社側での保険料負担は資金繰りを圧迫する要因にもなります。
役員報酬を高く設定しすぎると、会社が負担する社会保険料も高額になるため、所得税・法人税の削減額と社会保険料の増加額を慎重に比較検討しなければなりません。
法人は「複式簿記」による正確な会計処理が求められ、作成すべき書類の量も個人事業主と比べて多くなる傾向があります。
株主総会の議事録作成や役員の登記更新など、会社法に関連する事務作業も発生します。これらを経営者一人でこなすのは難しく、専門家のサポートが不可欠になります。
法人化に最適なタイミングは、売上高や利益の額だけで決まるものではありません。
一般的には「利益が900万円を超えた時」や「消費税の課税事業者になる時」が目安とされますが、インボイス制度への対応や事業拡大のスピードによっても異なります。
ご自身の状況に合わせて、以下の記事で詳細なタイミングを確認してみてください。
「所得が〇〇万円なら法人化すべき」という基準は、あくまで一般論に過ぎません。
失敗しない法人化のためには、専門家による個別のシミュレーションが不可欠な理由を解説します。
税理士は、単に税率を比較するだけでなく、配偶者控除や扶養控除、役員報酬のバランスを考慮した「経営者一族としての手残り額」を算出します。
生活に必要な資金を確保しつつ、最適な税負担となるような報酬設計を提案できるのが強みです。
税制は頻繁に改正されます。特にインボイス制度の導入以降、消費税の負担構造は劇的に変化しました。
最新の法令に基づき、免税事業者のままでいるべきか、課税事業者として法人化すべきかを精査することで、数年後のキャッシュフローに大きな差が生まれます。
法人化すると、確かに税率は下がりますが、事務コストや社会保険料は増えます。
「節税できた額」よりも「増えたコスト」が上回ってしまっては意味がありません。シミュレーションを行うことで、諸経費を差し引いてもなお法人化する価値があるのかを、客観的な数値で判断できます。
個人事業主と法人の違いは、単なる「呼び名の違い」ではなく、経営のルールそのものの違いです。
法人化によって得られる節税メリットや社会的信用は非常に魅力的ですが、それには維持コストや事務負担という責任も伴います。
大切なのは、「いつ、どのような形で法人化するのが、あなたの事業にとって最も有利か」を事前に見極めることです。
リゾルト税理士法人では、法人化を検討されている個人事業主様のために、現状の収支に基づいた詳細なシミュレーションを実施しております。
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